カラフル☆デイズ

「ん、おいひー!」


美味しいです!と、改めて先輩に教えてあげると、すぐさま返事がくる。


「顔を見てれば判る」


先輩は、私の表情や口調から、私の心情を簡単に察してしまうのかもしれない。


けれど、私は先輩の気持ちなんて、表情を見ていてもなかなか推し測ることが出来ない。


「……深月先輩、つまんなくないですか?」


クレープを口元から離して、私は深月先輩の顔をじっと見つめた。


「は?何……まひるは、つまんないの?」


「違いますよっ!そういう意味じゃなくて……その逆で、私ばっかり楽しくて、先輩はそうじゃないんじゃないかな、って……」


ひたすら下がっていくテンションの所為で、美味しく感じていたクレープも今では甘ったるさだけが、妙に口の中に残る。


先輩に対する気持ち一つで、味覚がこうも変わっちゃうなんて信じられないけど。



< 178 / 420 >

この作品をシェア

pagetop