カラフル☆デイズ
「いーよ。もうすぐ昼メシの時間だし?」
「あ、忘れてた!お昼食べてから、デザートかおやつとして食べれば良かった!」
「そうすればいいのにと思ってた」と鼻で笑う先輩に、「それならそうと教えて下さいよ!」と抗議する。
いつもの調子に戻ったことで、沈んでいた気持ちがゆっくりと浮上して、またクレープが美味しく感じられる様になった私は、どこまでも現金だ。
今まで、悩み事と言えば圧倒的にあさ兄のことばかりに気を取られがちだったから、それ以外のことで悩むことなんて殆どなかった。
けれど、深月先輩と一緒に居ると、先輩の些細な言動が気になって、その度に、気持ちが沈んだり舞い上がったり、常に忙しい。
千紗が、相手の一挙手一投足で一喜一憂し、感情を振り回されるのは疲れるから嫌だと、以前言っていたことを思い出す。
浮き沈みするこの感情が、全部深月先輩から与えられたもので、これも恋愛の醍醐味だというのなら、初めて経験するこの感情も悪くないかも、なんて思った。