カラフル☆デイズ

「目、真っ赤だな」


「だからブサイクだって言ってるのに!もう見ないで」


頭を軽く一振りして、あさ兄の指を払い退ける。


「全然ブサイクなんかじゃないよ。ウサギみたいで可愛いけど、あとで冷やそうな」


無駄に優しく微笑んだあさ兄は、ポンッと私の頭に手を乗せた。


「あのね、あさ兄――」


私の好きな人は、古川深月っていう人なの。


あさ兄の優しさに導かれ、思わずそう告げようと、『私』まで口にしたところで


「朝陽ー、まひるー、晩メシ出来たから下りてこいよ!」


それは、一階から叫ぶセイ兄の声によって遮られてしまった。



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