カラフル☆デイズ
これであとは素知らぬフリをして、お客さんとあさ兄の横を通り過ぎれば問題なく抜け出せる。
そう思って玄関へと向かうと――。
「えっ、何で?」
なぜか、うちの玄関には浴衣姿の千紗が立っていて、あさ兄と楽しそうに談笑していた。
私を見たあさ兄が、さっきまでとは打って変わって安心した様な穏やかな笑みを浮かべている。
「まひる、千紗ちゃんがわざわざ家まで迎えに来てくれたそうだよ」
「じゃあ、朝陽さん、まひるをお借りしまーす」
千紗はあさ兄に挨拶を済ませると、現状を理解出来ていない私の腕を取り、半ば引き摺られる様にして家を出た。