カラフル☆デイズ
小さい頃から幾度となくされた、不貞腐れた私をあやそうとする時のその仕草。
「ほら、まひる、お願いだから許して」
「知らないっ」
もう子供じゃないんだから、そんなことで機嫌を直すと思ったら大間違いだし、食べ物でつられるほど現金じゃない。
それでなんとかなると思ってるなら甘いんだから――そう思うのに、どうしてだろう……。
「本当にごめんって。夕飯、腕によりをかけるから。な?」
あさ兄が私の両頬を両手で挟み、正面から微笑みかけてくる。
本気でむかついてるのに。
「……全部、私の好きな物にしてくれなきゃ許さない」
それなのに、こうして簡単にあさ兄を許しちゃう私は、どこまでも甘くて。
「プラスで、まひるにはデザートも付けてあげるよ」
あさ兄は、私を甘やかして誤魔化すことが上手で。
だから今日も結局、どうしてこうまで私の恋路を邪魔するのか、その辺はまたしても曖昧なままになってしまう。
セイ兄が、「朝陽もシスコンだけど、まひるも十分ブラコンだよな」って、ボソリと洩らした不本意過ぎるセリフがハッキリと聞こえた。