カラフル☆デイズ
昔の記憶
「それじゃあ、まひる、買い出し行くの、付き合ってくれる?」
あさ兄がソファに掛けてあったジャケットを手にする。
学校から帰ってきてからというもの、あさ兄の所為で無駄に体力を消耗してしまい、はっきり言って出掛けるのも面倒くさい。
だけど、私の好きな物を作ってもらうのに、しかも普段から家事全般を頑張ってくれてるあさ兄に対して、面倒とか嫌だなんて言えなくて渋々頷く。
急いで制服から私服に着替えて、再びリビングに戻ってきた私をセイ兄が呼び止めた。
「あ、まひるちゃーん」
私を“ちゃん”付けする時のセイ兄は、ロクなことを言わないことを知っている。
ここは聞こえなかったフリで無視しよう、無視。
「まひるちゃーん、俺ハンバーグが食いたい!それか唐揚げ。エビフライも追加で」
無視した私に、それでも尚、声を投げかけてくるセイ兄に負けて、くるりと後ろを振り返った。
「セイ兄の味覚って子供と一緒だよね。残念ながら、私の食べたい物とは一致しないので却下!」