カラフル☆デイズ
「じゃあ、まひるは今夜、何が食いたいんだよ?」
「たこわさ、イカの塩辛、鳥軟骨の唐揚げも捨てがたいし、あとはホッケの開きに……」
指を折りながら、食べたい物を挙げていく。
「オヤジかよ。全部居酒屋メニューだろ、それ」
呆れてるのか馬鹿にしてるのか判らないセイ兄の態度を、あさ兄が窘める。
「静夜、そんなこと言うもんじゃない。まひるは女の子らしい容姿に反して、食べ物の好みがオヤジくさいという、このギャップが可愛いんだから。むしろ、これがまひるの売りじゃないか」
あさ兄が腕を伸ばして、私の頭を自分の方へと引き寄せた。
そのまま、まるで猫を撫でるみたいに、引き寄せた手で私の頭を撫でる。
「……あさ兄、」
抱き込まれた広くて硬い胸板に、あさ兄も男の人なんだなって思ってドキッとしかけたけれど、すぐに正気を取り戻した。
それよりも、『そんなこと言うもんじゃない』って言った、あさ兄のセリフが引っ掛かってしまったから。