カラフル☆デイズ

そっと、あさ兄が私を腕の中に包み込む。まるで、大切なものを閉じ込める様に、いつになく慎重な仕草で。


あさ兄に抱き締められたことで、無意識に強張っていた身体から力が抜けていく。


こうしていると、小さい頃に雷が怖くてあさ兄の布団に潜り込んだ時みたいに、何も怖いものなんてない安心する空間にいるみたいで。


今、ここにあさ兄がいてくれて良かったと思った。


あさ兄の胸元に顔を当てると、微かにあさ兄の匂いと一緒に少し速めの心臓の音が聞えてくる。


「…――ど…――か…まひる…――…て……っ」


耳に届いた、心音に掻き消されるほど小さなあさ兄の声。


――勝手だけど、どうか まひるは、変わらずにいてくれ……っ


泣き出しそうな、苦しそうな、祈りにも似た声。


私を抱き締めるあさ兄の腕に、さっきよりも力がこもった。



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