カラフル☆デイズ
セイ兄の名前を呼んだだけで、あさ兄はそれ以上何も口にしなかったけれど、その一言にすべてが集約されたみたいに、空気が一瞬でピリッとしたものに変わった。
さっき、セイ兄を窘めた時よりも静かな声だけど、今の方がずっと迫力がある。
耳を塞がれたところで、とっくに聞えてたし、この空気だけで十分に理解出来るっていうのに。
大体、お父さんがいないことを、あさ兄が思っているほど私は気にしていないのに。
こういう時のあさ兄は驚くほど敏感で、その敏感さに逆に戸惑ってしまうくらい。
そして、こういう時のセイ兄も、不思議なくらいあさ兄に何も言い返したりはしない。
二人ともピタリと口を閉ざして、不自然なほど空気が重くなる。