カラフル☆デイズ

今のセイ兄は深月先輩への苛立ちよりも、何よりも自分の無力さに苛立っている様に見える。


「朝陽のヤツ、自分はこういう形でしか手助け出来ないから、せめてこれで少しくらいはアイツの不安や寂しさを埋めてあげられれば、って……」


ホント、意味わかんねーよ……と、セイ兄が怒る。


これは、自分の無力さに対してだけじゃなく、自分を犠牲にして、より多くの苦労を背負ってしまうあさ兄に対しても怒ってるんだ。


人って、心配し過ぎると怒っちゃうものだから。


私は、何も判ってなかった。


あさ兄が背負ってるものの重さも、私が深月先輩と一緒にいることで、余計にセイ兄を苦しめてることも。今日までずっと何一つ判ってなかった。


立ち上がって、セイ兄に近寄った。


「セイ兄、ごめんね……」



< 302 / 420 >

この作品をシェア

pagetop