カラフル☆デイズ

私の為に怒っているセイ兄にも、セイ兄の様にずっと苦しんできた深月先輩にも、どちらにもこれ以上傷付けあって欲しくない。


これ以上聞きたくないのに、思う様に動けない。


「だから、そういうまひるの気持ち、これ以上踏み(にじ)るな」


怒りを滲ませたセイ兄が、周囲を取り囲む鉄柵を勢いよく殴った。


「深山、言いたいことはそれだけか?だとしたら、お前の言い分はいつも勝手過ぎて笑える」


二人だけの緊迫した空間から、深月先輩の息を吐き出す様な短い笑い声と静かな声が聞こえてくる。


「ハッ。ここで笑えるお前が羨ましいよ」


聞いてるだけで背筋が寒くなってくるほどの険悪な二人の応酬に、とてもこれ以上は聞いていられなくなり、そっとその場から逃げた。




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