カラフル☆デイズ

三階まで下りた後、柱の陰に隠れて二人の内どちらかが下りて来るのを待っていると、先に現れたのはセイ兄だった。


続けて深月先輩が下りてくる様子もなく、屋上に深月先輩が一人きりであることを確認すると、私は勇気を振り絞って再び屋上へと向かった。


ブレザーのポケットからスマホを取り出して、その先に付いているストラップを外し、ギュッと握りしめる。


「……深月先輩、」


鉄柵を握り、遠くを見ていた深月先輩が、ハッとした様子で振り返った。


「……さっき、セイ兄と話してたこと、嘘ですよね?」


セイ兄が相手だからこそ、あの言葉は先輩の本心じゃなかったと思いたい。


あんな会話を聞いて尚も、そんな風に願う私は、自分勝手なのかな……。


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