カラフル☆デイズ
鈴ちゃんにお礼を言って、すぐに千紗に耳打ちをする。
「……千紗、いっせーのでダッシュして後ろの方から逃げるよ」
幸い、私の席から教室の後ろの入り口までは近く、不意を突いて全力で逃げれば、セイ兄を振り切ることが出来る。
「いっせーの、」
全速力で教室から逃げ出した――はずだったのに。
「え、あれっ……?ちょっ、」
どんなに足を前に繰り出しても少しも前へは進めなくて、気付けば、いつの間にか背後から私のお腹へとセイ兄の腕がしっかりと回されていた。
「セ、セイ兄、放してっ!!」
「放してもいーけど、逃げる気でいるだろ?」