カラフル☆デイズ

「ち、千紗っ、」


助けて!って言おうとしたのに、隣を見れば千紗の姿は既になく、教室の入り口付近から笑顔でジェスチャーをしてきた。


片手に持ったお財布を振って、『一人で買いに行ってくるね』というジェスチャーを。


「……逃げないから、放して」


じゃないと、さっきから教室中に響き渡っている『きゃーきゃー』という悲鳴が耳に刺さって仕方がない。


「これ以上、目立つことはご免だからな」


セイ兄が釘を刺してから私を放す。


「一体、誰の所為で目立ったと思ってるの!?」


「まひるの所為だろ。お前が素直にこっちに来ないで、逃げ出そうとしたのが悪い」


そうだけど、そうなんだけど……。



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