カラフル☆デイズ
「……ねぇ、セイ兄、」
「ん?」
セイ兄の袖を軽く掴んだ。
「近所の人とか、全然関係のない人にさ、あれは不運な事故だったんだから早く忘れなさいって、よく言われたじゃない?」
お父さんが亡くなってから、色んな人から、同情混じりに何度も何度も言われた。
そう言われる度に、逆に忘れられなくなった。絶対忘れないって思った。
そんな簡単なことじゃないって、反発しながら。
「私ね、それってすごく無責任なセリフだなって思ってたんだ……。気遣ってそう言ってくれてるのは判ってたけど、それでも他人に言われたくないって思ったりもして」
掴んでいたセイ兄の袖を放して、代わりにセイ兄の手に触れる。
「でもその言葉……今度は私が言ったら、駄目かなぁ?」
願う様に、祈る様に、セイ兄の手をギュッ握った。