カラフル☆デイズ
「あー、あとは、男の敵である前に女の敵だ、とも言われたなぁ」
伊月さんが、あさ兄のことを思い出しながら可笑しそうに頬を緩ませる。
この人、とてもじゃないけど、そんな軽そうには見えないのに……。
あさ兄が、片想い中の伊月さんのことを『そういう恋はしそうにないヤツだったんだけどな』なんて言ってたのは、こういう意味だったんだ……。
あの時は、一緒にいた従姉の女性のことが本気で好きな様に見えたのに、私が思っていたほど本気じゃなかったのかな?
「あの……不躾ついでにもう一つだけ良いですか?その、デパートで一緒だった人のことは、もう諦めたんですか?」
そう訊ねた途端、伊月さんの表情がわずかに翳った。
だけどそれは、私の単なる見間違いだったかと思うほど一瞬のことで、すぐにまた元の穏やかな表情に戻ってしまった。