カラフル☆デイズ
――お父さんが亡くなった時、19歳だったあさ兄は大学に入ってまだ一年目で、新しい環境の中、毎日楽しそうに通学していた。
そんなあさ兄が頑張って入ったはずの大学を中退したのは、お父さんのお葬式を終えてわずか数日後のことだった。
その理由が、お父さんの代わりに私やセイ兄を養う為だったってことは、その後、働き出したあさ兄を見てすぐに理解した。
そういった過去のあるあさ兄が、今も大学に通う友達と会うのって、どんな気持ちなんだろう?
あさ兄は大学を辞めたこと、後悔とか、してないのかな……。
あさ兄の顔を盗み見ても、そこからあさ兄の気持ちを推し測ることは出来ない。
「ん?何?」
あさ兄が、私の視線に気付いて首を傾げた。
「てっきり、さっきの女の人は、あさ兄の元カノかと思っちゃった」
「さては、あの人が俺の元カノだって思って、まひる、ヤキモチ焼きそうになったんだろ?」
カゴを持っていない方の手で、あさ兄が笑いながら「可愛いなぁ、うちの妹は」と、私の髪をくしゃくしゃと撫で回す。
こういう、人目を気にしない行動は慎んで欲しいって、いつも言ってるのに……。しかも、ヤキモチって何!?
「そういう不適切な単語は、使用禁止って言ったでしょう?」
キッと睨んで、あさ兄の手をパチンと叩いた。