カラフル☆デイズ
知ったからと言って、私なんかが今更どうにかしてあげられることはないけれど、それでも、少しでもいいからあさ兄のことを知りたかった。
あさ兄が私たちの為に大学を辞めたあの日から、ずっと、私の心の中に引っ掛かっていたこと。
あさ兄本人は、聞いたところで本心を話してくれるはずがないと、直接聞いたことはなかった。
だけど、このことに関するあさ兄の真意が知りたかったから、私の知らないあさ兄を知る伊月さんに、どうしても訊ねずにはいられなかった。
伊月さんは、「どうだろうね。深山の本心は、僕には判らないけど……」と言って、少しだけその場で考え込んだ。
「でも、そうだな……まひるちゃんが笑顔でいてくれれば、それだけで報われるんじゃないかな」
僕だったらきっとそう思うよ、と微笑んだ。
セイ兄も、私が笑ってるだけで救われるって言ってた。
そんな単純なことじゃないと思うのだけど……。
「あの…… 男の人って、意外と単純なんですか?」
私の言葉に、伊月さんは「意外と、というか、意に違わず、ね」と愉快そうに笑った。