カラフル☆デイズ

  * * *


「昨日、伊月さんに会ったよ。ちょっとだけ話したんだけど、すごく感じの良い人だね」


朝食の準備が調(ととの)い、ダイニングチェアに腰を下ろした私は、コーヒーを啜っているあさ兄に向かって、ふと昨日の出来事を口にした。


「何?まひる、伊月と話したのか?」


手元のマグッカップから私の方へと視線を移したあさ兄の目が、心なしか鋭い気がする。少しだけ眉間にシワが寄っている。


セイ兄が「誰だよ、そいつ」と、あさ兄に訊ねて、あさ兄が「大学の時の友人」と答える。


「あいつには一人で近付かない様に。ああ見えて、女の敵だから」


私に向かって、キッチリと釘を刺してきた。


昨日の伊月さんの口からも同じセリフを聞いたことを思い出し、思わず小さく吹き出した。



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