カラフル☆デイズ

良かった、と心の底から安堵(あんど)して、あさ兄の側に近寄る。


「あさ兄が不幸じゃなくて良かった。それにね、伊月さんもやっぱり不幸なんかじゃないよ」


あさ兄は私の手を取り、「何で、ここで伊月が出てくるんだ?」と(いぶか)しがる。


それは、不毛な恋をしている伊月さんのことを、あさ兄が『報われない恋に落ちるってのも、まぁ、軽く不幸ではあるよな』って、以前に言っていたから。


例え報われなくても、誰かをそんなにも好きになれることは、やっぱり幸せなことだと、今は実感
を伴ってそう思えるから。


初めて恋を知って、結局上手くはいかなかったけど、それでも私はそう思えたから言える。


「幸せや不幸せって、他人に推し量れるものじゃないもの。だから、あさ兄が思ってるほど、私も伊月さんも不幸じゃないし、あさ兄だってそうでしょ?ってこと」


あさ兄が、私たちの為に自分の未来を犠牲にして、今のあさ兄が不幸だと私が決めつけるのは、あさ兄に対して失礼だと気付けたから。



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