カラフル☆デイズ

日記には、先輩の字に似た癖のない――けれど、先輩のそれよりも女性らしく、わずかに丸みの帯びた綺麗な字が並んでいる。


お父さんが亡くなった年の1月1日から、几帳面に毎日書き綴られている様だ。


パラパラと捲る内に、『深山くん』という文字が視界に飛び込んできて、慌ててそのページをあさ兄が抑えた。


『今日は、すごく驚くことがあった。
 高校の時の同級生、深山くんと
 駅で偶然再会した。』


そんな出だしで始まったお父さんが登場する日記の日付は、事故が起きる約一ヶ月前のものだった。


――――――――---

今日は、すごく驚くことがあった。

高校の時の同級生、深山くんと駅で偶然再会した。


お互い、ちょうど時間があったから、少しだけ立ち話をした。


久しぶりだねとか、この辺に住んでるの?といった他愛もない話から近況の話題になり、あまり人に自慢できるような生活にない私は会話を弾ませることができず、代わりに深山くんが自分のことを沢山話してくれた。


深山くんには、お子さんが三人もいるらしい。


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