カラフル☆デイズ
Days -Ⅱ-【憂鬱☆ブルー】
例の犯人
「――で、結局昨日は、たこわさじゃなくてカプレーゼになったから、まひるは怒ってるんだ?」
「そうそう」
千紗に相槌を打ちながら、お弁当箱の端に詰められていたイカリングにフォークを刺す。
「本当は、あさ兄に嫌がらせするつもりで買ったトマトだったのに」
それが食卓に並んだ時には、スライスしたモッツァレラとトマトにバジルを重ね、その上からオリーブオイルに塩、ブラックペッパーをかけ、カプレーゼに変身していた。
お蔭で、トマトをあさ兄に食べさせることをすっかり忘れ、私とセイ兄のお腹にキッチリと収まってしまったのだ。
そんなお洒落な副菜と一緒に、私の食べたかったイカの塩辛や鳥軟骨の唐揚げ――セイ兄が言うところの居酒屋メニューも並んだ。
よって、昨夜の夕ご飯は良く言えば和洋折衷、悪く言えば食べ合わせ無視の妙なメニューになってしまう始末に。
けど、私が一番食べたかった、たこわさは買い忘れちゃったし……!
「――って、そうじゃなくて!!」
「ちょっ、まひる!イカリング飛ばさないでよ」
イカリングが刺さったフォークを握ったまま机を叩いた所為で、私のイカリングが飛んでしまい、上手い具合に千紗のお弁当箱の中へ落下した。