カラフル☆デイズ
「ごめん、ごめん。お詫びにそれあげるから」
「要らないってば」
千紗が箸でイカリングを摘み、私のお弁当箱へと戻そうとする。
「それ、冷凍食品じゃなくて、あさ兄の手作りだって言っても?」
そう言った瞬間に、箸の先からはイカリングが消えていて、千紗の顔を見れば『要らない』と言ったはずのイカリングを頬張っていた。
「千紗、美味しい?」
「うん。朝陽さんの手作りってだけで、特別美味しく感じるよね」
実は今朝、私がフライパンで揚げ焼きにした冷凍食品のイカリングだけど、本当のことは言わないでおこう。
「ところで、水上くんのことをあさ兄に教えた犯人は、千紗でしょう?」
私が『美味しい?』と訊ねて、『うん』と答えた時と同じ調子で、千紗が頷いた。