カラフル☆デイズ
ご飯を食べた直後にもかかわらず、全然気分が上がらない私の前では、いつの間にかお弁当箱を片付け終えていた千紗がコンパクトミラーを取り出していた。
ファンデやティントリップで、メイクを直している千紗は可愛い。
すっぴんでも十分に可愛いけど、今はメイクの所為だけじゃなく、以前よりももっと可愛くなった気がする。
「やっぱり、恋をすると変わるのかな……」
ポツリと洩らせば、千紗がティントを塗る手を止めて私を見た。
「そう、それだ!彼氏が出来るとなぜかモテるから、まひるも彼氏が出来たら、きっとすぐにでもモテ期が来るよ!だから、モテ期の前にまずは彼氏を作りなよ」
あさ兄の存在を無視して簡単に言ってくれる。
あさ兄がいるから彼氏が出来なくて、彼氏が出来ないからモテ期というものに頼りたかったのに、これじゃあ本末転倒だ。
そもそも、彼氏がいるなら、モテ期が到来しても意味がなくない?
モテ期が来ないことには、彼氏が出来そうもないのに、モテ期は彼氏が出来ないと来そうにないことに、内心愕然とする。
「てか、まひるの場合、朝陽さんの監視下にある内は、例えモテ期が来たとしても、今よりももっと大変な日々が続くだけだと思うけどね」
結局は、そこなんだよね……と、千紗の言葉に私は半ば項垂れる様に頷いた。