カラフル☆デイズ
首だけを捻って振り返ると、制服のズボンのポケットに手を突っ込んだ男の人が立っていて、前髪の奥から覗く漆黒の瞳と目が合った。
「あっ、すみません!」
自分が入り口を塞いでいたことに気付き、素早く身体を翻して横に避ける。
その男の人は、そんな私を無遠慮に一瞥した。
「……うちのクラスに、何か用?」
スッキリとした顔立ちには少し不似合いな、かなり低めの声。
そして、見上げる様な身長差の所為で、ちょっとだけ威圧感の様なものも感じてしまう。
あさ兄よりは低いけど、セイ兄とは同じくらいに見えるから、177センチ前後かな?なんて思いながら、目的の人物であるセイ兄の名前を口にする。
「あ、えっと、あの……深山静夜にちょっと用があって」
「あっそ。」
……ん?
相手の態度が一瞬理解出来なくて、相槌とは決して呼べない、吐き捨てる様な返事に、思わず表情と身体が固まった。
漫画だったら、背景には『ピキッ』て擬音が書かれているはず。
石化されたみたいに固まる私の横を、その人はまるで何事もなかったかの様に通り過ぎて行く。
てか、ちょっと待って!自分から振ってきて、その態度は余りに失礼過ぎると思う……!!