カラフル☆デイズ
「まひる、包丁を持ってる時は急に引っ張らないこと。危うく手を切りそうになったぞ?」
「ごめん。それよりセイ兄に言ってやってよ!」
キッとセイ兄を睨んだまま、あさ兄をセイ兄の前に突き出す。
「“それより”って……、まひる、何気に酷いね」
ボヤキながらも、あさ兄がポリポリと鼻を掻いた。
こほん、と咳払いをしたあさ兄が、背中に隠れていた私の方を見て
「忘れ物をしたまひるも悪い」
まさか、私を注意してくるとは思わなくて――だけど、あさ兄が言ってることが正しいのは判ってるから何も言い返せない。
さっきはつい、売り言葉に買い言葉でセイ兄を責めちゃったけど、セイ兄が悪くないことも、本当は判ってる――。
少しだけ冷静になって反省しかけていると、私が言った時以上に理不尽に聞こえるセリフを、あさ兄はさも当然とばかりにセイ兄に言い渡した。
「だけど、まひるが行った時に教室にいなかった静夜は、もっと悪い」