カラフル☆デイズ
「だったら、そこ、退いて下さい!」
相手の先輩という立場に遠慮することなく、強気で押し退けて自販機の前に立つ。
財布から百円玉を取り出そうたしたその時、頭の上に何かが当たった。
手を伸ばしてそれに触れた瞬間、背後からは、「やる」の一言。
私の手には、古川先輩が買ったカフェオレの紙パックのひんやりとした冷たさが伝わってきた。
「えっ、あっ……ちょっと待って下さい!お金」
財布から百円玉と十円玉を取り出そうとすれば、今度は「別にいい」と返ってきた。
「私が良くないんです!これ以上、古川先輩に借りを作りたくないんで」
「あっそ、そこまで言うなら貰う」
先輩の言葉に頷いてお財布を見れば、運悪くちょうど百円玉は切らしていて、五十円玉や五百円玉すら入ってなかった。
こんな時に限って千円札しかないなんて……!