カラフル☆デイズ

千円札を差し出してお釣りを求めたり、他の飲み物を買って千円札を崩そうとすれば、「やっぱりお金はいい」とか言い出しそうだし……。


「あのぉ、代わりに、お弁当じゃ駄目ですか?」


「……は?」


お金の代わりに、私が今、先輩にあげられるものと言えば、これから千紗と中庭で食べる予定のこのお弁当くらいしかない。


自分からお金を払うとか言い出しておきながらこれは、余りにも格好悪すぎる……!


「意味が判んないから、もう行くわ」


私に背を向けた先輩のブレザーを慌てて掴んで引き止めると、財布から千円札を取り出した。


「ちょっと待って下さい、嘘です!今、払いますから!」


そんな私に向かって先輩はため息を吐き出すと、千円札を自販機に入れようとしていた私の手を止めた。


「弁当、何?」


「……たまごサンドとおかずが何種類か。あと、小さいケースにフルーツが少し、です」


「なら、たまごサンドを一つだけ。それで良いか?」


古川先輩の言葉にこくりと頷き、個別にラップで包んでランチボックスに入れてあったたまごサンドを一つだけ取り出した。


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