カラフル☆デイズ

古川先輩の口から繰り出される言葉を予想して、思わず身構える。


「……今日のは、旨い」


古川先輩はそう言って、手に持っていた残りの一口分ほどのたまごサンドを口に放り込んだ。


……今、美味しいって言ってくれた、よね?


正反対のことを言われると思って身構えていた所為で、先輩のセリフがにわかには信じ難い。


目を見開いて古川先輩を見上げると、「何?」とまたしても睨まれた。


「今言ったこと……もう1回、言ってもらえますか……?」


「今日のは、旨い」


わざとらしく、“今日のは”の部分だけをやたら強調した古川先輩に、だけど苛立ちは湧かなくて。


「やったぁ!ついに、先輩に美味しいって言われた!!目標達成出来たー!」


胸元で両手を組み合わせて、強く握り締めた。


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