カラフル☆デイズ
嬉しくて足をジタバタさせる私に、古川先輩が目を丸くする。
「すごい喜び様……。まるでアヒルだな」
アヒルって……。
私の名前を知った上で馬鹿にしてるのかと思ったけど、多分そうじゃなくて。水面に浮かぶアヒルが、水面下では一生懸命に足をバタつかせている姿と重ねて言っただけだろう。
「これでも色々研究したんですからね!あーもう、ほんと、めちゃくちゃ嬉しいっ」
研究と言うと大袈裟だけど、古川先輩の反応を窺いながら、感想が『普通』から『まぁまぁ』に変われば、味は濃い目が好きらしいと見当をつけて、次の日は塩加減やマヨネーズの量を調整した。
食感もたまごの茹で加減や、刻み方で粗さを調節し、少しずつ先輩の好みに近付く様に変化をつけ続けて、ついに今日は思い切って隠し味にマスタードをパンの内側にうっすらと塗ってみた。
それが見事に功を奏して、今日までの約一週間がやっと報われたんだから、古川先輩が思う以上に嬉しいのは当然で。
「連日たまごサンドを食べさせられたけど、目標達成ってことは、今日でやっと終わる訳だ」
先輩が、私に訊ねる様に投げかけた。