カラフル☆デイズ
自覚はまったくないけど、千紗が言うならそうなのかもしれない。
手をつけられずにいるキャンディが、時折、ブレザーのポケットの中でその存在を主張する。
その度に、どうしてかは判らないけど、古川先輩のことを思い出してしまって――。
「あっ、ねぇ、まひる!あれって、静夜先輩だよね?」
千紗が嬉しそうに窓際に駆け寄った。
私も窓際に近付くと、斜め向かい側に廊下を歩くセイ兄の姿が見えた。
「だね」
「久々に生で静夜先輩を拝みたい!あっちを回って帰ろっ?」
「何、その“生”って……」
「えー?静止画像ではいつも見てるけど、やっぱりそれだけじゃ物足りなくって」
ブレザーのポケットに忍ばせてあったスマホを取り出した千紗は、フォルダを開いてセイ兄の画像を見せてきた。
「見て!コレとか、めちゃくちゃ格好良く撮れてるでしょ?」