カラフル☆デイズ

「で、何?また習字道具でも忘れたのか?」


セイ兄が、ちょうど手に持っていた書道セットを、軽く私の方へと差し出してきた。


「ううん、偶然見掛けたから声を掛けただけ。セイ兄は前の時間、書道だったの?」


「そう。国表で」


「こくひょう?」


「国語表現。まひるも来年、三年になれば選択出来る様になる」


「へぇ……」


ってことは、あの人もセイ兄と同じく、国表っていうのを選択してるんだ……。


急に古川先輩の姿が頭に浮かんで、選択科目を終えて教室へと戻って行く先輩たちの中に、自然と古川先輩の背中を探してしまう。


だけど、後ろ姿すら見当たらなくて、なぜか判らないけど、ため息が出そうになる自分がいた。



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