カラフル☆デイズ
「……ってか、さっきから、人の名前を無駄に連呼しないで、下さい」
しかも、呼び捨てだし。
速まる心臓を抑えながら力なくそう言うと、古川先輩は呆れた様に私を見下ろしてきた。
「返事をしないヤツが悪いんだろ。急に呆けるなんて、変なヤツ」
「……深月、先輩」
試しに、私も先輩を名前で呼んでみる。
「何?」
先輩の方は依然として冷静に私を見下ろしたまま、特に変わった様子も見せない。
ただ単に、表情には出ないだけ?
もっと何度も名前で呼べば、先輩もそのうち表情に出るかな?
「先輩が私を呼び捨てにするなら、仕返しに私も先輩のことを、今みたく下の名前で呼びますよ?」
良いんですか?と訊ねると、先輩は「別に。好きに呼べば?」と素っ気なく返してきた。