研究オタクな令嬢は、ドラゴン【研究対象】に夢中。
安心感のせいかヒューリに支えてもらってようやく歩けていた体の力が、ふっと抜ける。
すかさずヒューリがイリアを抱きとめると、言わんこっちゃないと眉を顰めた彼の顔がすぐ近くにあった。
「今日は早く帰って少し休んだ方がいい」
「でも……」
「そうよ、イリア。顔色悪いから今日は家に帰って?」
「僕達で研究は進めておくから、安心して」
三人の言葉に首を縦に振ることしかできず、ヒューリに抱きしめられたままヴァイルの背中に乗り込んだ。
遠ざかっていくナルとルガの姿に小さく手を振ると、一気にヴァイルは地上へと羽ばたいた。
真っ黒な夜空に浮かぶ星空が見え始め、カデアトではない自分の本来の世界だと頭が反応すると正常に肺に酸素が送られていく。
無事ネグルヴァルトに辿り着くと、草木の生い茂る地面の匂いがおかえりと言っているようだった。
「ありがとう、ヒューリ」
「もう平気か?」
「うん。大丈夫」
不思議と体に力が漲ってくる感覚を見せつけるように、その場で一つ回って見せた。