研究オタクな令嬢は、ドラゴン【研究対象】に夢中。
いつの間にか肩の荷が降りたように軽くなっていることに気づき、軽くなった体の底に溜まったものを吐き出すように口を開く。
「これだけ楽しいと思える研究を馬鹿にされて、何かに取り憑かれていると言われたの。こんな気合いまで入れて挑んだ場所だったのに、無駄にしちゃった。変人扱いされてる私には、ちょっとまだ難易度が高すぎたみたい」
「イリアは、ちっとも変なんかじゃない。それに今日のイリアは一段と……綺麗だ」
真剣な眼差しで紡がれた言葉が全身を走り、鼓動を早くさせていく。
恋をしているせいもあるのだろうが、イリアは素直にその言葉が嬉しくて仕方なかった。
近づいてきたヒューリがそっと手を差し出し、その手をしっかりと掴んだ。
「建物の中で踊っていた人が見てたけど、俺にもそれ出来るかな」
「一緒に踊ってくれるの?」
「でも足でまといになりそうだから……俺なりの方法で!」
「きゃっ!」
掴んでいた手を引かれたかと思えば、あっという間にヒューリに抱きかかえられ、その場でくるりと回り出す。
突然の動きに最初は強ばっていたが、支えるヒューリの手に安心して段々と楽しくなってくる。
自然と零れる笑顔に不意にヒューリが額に唇を近づけた。
「そうやって笑うイリアの笑顔が、一番大好きだ」
「っ……!」
自覚した気持ちに拍車をかけてくるヒューリに、このまま好きだと伝えたくてしょうがなくなった。