研究オタクな令嬢は、ドラゴン【研究対象】に夢中。
呼吸するのが早くなりこのままではまずいと、手紙の内容から離れるようにエリー達を見つめた。
「第二王子って……彼、王族だったの?!」
「僕達も混乱しているんだ。イリア、昨日参加した舞踏会はとある貴族のご子息が開いたもので間違いないかい?」
「は、はい。お茶会で参加した時に誘われたものです」
間違いなくハンナに誘われて、辿り着いた舞踏会だ。その場でハンナと挨拶も交わしたのだから間違いない。
何かの手違い等で王族の舞踏会に参加したとかいう、外れた行動は取っていない。
見知らぬ世界に踏み込んだ恐怖は確かにあったが、初めて参加した舞踏会に緊張していただけという認識はある。
ーーあの仮面を付けていたのは、身分がバレないようにするため……?
でもどうして位の高い身分である王子が、貴族の舞踏会に居たのかは謎だらけだ。
真相を知りたくてもイリアの頭では答えを出せるはずも無く、もう一度手紙に目を通す。
「普段の縁談なら両者には拒否権は存在するものよ。でも……今回は王族とならば、拒否権はない。つまり、貴女はこれから王宮で生活しなければならなくなるの」
「……」
王族に対して反発的な態度を取るような輩は早々いないのは容易に想像がつく。
そこはもちろん家族に迷惑をかけぬように受け入れるつもりではいるが、今まで努力して掴もうとした嫁ぎ先がこんな形で見つかるとは予想できるはずがない。