研究オタクな令嬢は、ドラゴン【研究対象】に夢中。
急な眩しさに目を細めていると見知った顔のアルロスが派手やかな王族衣装で迎えられると、手を急に取られそのまま外へと繋がる謁見台へと踏み出した。
見渡す限りの人の多さに身を引きそうになるのをぐっと堪えて、アルロスに引っ張られるように謁見台の真ん中に立った。
これから先このような場で仕事をする王子の隣に立たねばならないのだと、決意を固めて集まった民衆へと目を向けた。
「……!」
目に入ったその光景に愕然としてしまい、足に力が入らなくなりそうになるのを必死に耐える。
ーー嘘……どうして……。
殺意を向けた群がる民衆が取り囲む台の上にいたのは、見慣れた青年の姿と綺麗な鱗の持ち主のドラゴン。
先程聞こえたあの声は、紛れもなくあの鳴き声だったんだと確信に変わる。
二人とも気を失っているのかぐったりとその場で横たわっている姿に、いてもいられなくなって謁見台の柵から身を乗り出してその名を叫んだ。
「ヒューリ!!ヴァイル!!」
ここから飛び降りるのには危険が伴うと謁見台から離れようとするが、そこには剣を構えた黒ずくめの使者達が立ちはだかる。
取り押さえられたイリアは両手を後ろで縄で縛り上げられると、アルロスに無理矢理立たされる。
「アルロス様!離してください!」
身じろぐイリアを無視して、アルロスは片手を高々と上げたかと思えばイリアの髪を乱暴に引っ張った。