研究オタクな令嬢は、ドラゴン【研究対象】に夢中。
ライジールは幼き頃からドラゴンがいるということを知っていたのだという。
半信半疑で生活してきた彼であったが、ネグルヴァルトでの霧の濃さに異常を感じ森のことについて調べていた。
丁度同じ頃、アルロスが森へ異常な執着を示していており、何度か使者を使ってアルロスについて調べさせ、情報を得たライジールは自ら森の調査へと向かった。
その時に見た光景が、一人の少女が森に恐れることなくまるで会話をするように森と溶け込んで行った。そう、その少女こそが、イリアだったのだ。
森の素材を生かして調合される薬はどれも効果の高いものばかりで、街の薬屋に売られたものが彼女の手によって作られたものだと知った時、腰を抜かしそうになったらしい。
さらに驚くことに少女はドラゴンに乗る青年と共に縦穴へと姿を消し、朝日が登る前に地上へと戻ってくる。
「君がヒューリと別れた直後に私は接触したんだ」
「私の後を着いてきたってことですか?」
「ああ、すまない。怪しい行動を取ってしまったこと、どうか許してほしい」
研究に浮かれていたのもあって警戒心もなく、ちっとも気づかなかった自分にやれやれとため息をつくしかない。
しかも王子に許してほしいなんて言われてしまったら、許すしか他ない。
「でも君には本当に感謝しているよ。弟が行動する前に、ヒューリと手を組めたんだから」
二人が手を組む理由が何処にあるのかと、最重要な情報にイリアは耳を澄ました。