研究オタクな令嬢は、ドラゴン【研究対象】に夢中。
「弟が前々からあの森に妙に執着していてね。唯ならぬ様子に影で調べさせたら、ネグルヴァルトから採れる有毒性の強い薬草を使って麻薬を作っていたことが分かったんだ。おまけに森を自分の領地にすべく色々企んでいたらしい」
「……!」
「イリア殿も見ての通りこの王都の活気がなくなったのも、アルロスが影でばらまいた麻薬によって引き起こされたものなんだ。取り締まりが強化されたせいで人の行き来が途絶えてね。本当に愚かなことを……」
弟の怒りに満ちたあの顔を見たライジールは、事件に蹴りがついてもどうにか事前に止められたのではないかと悔やむ表情を滲ませた。
「麻薬で混乱した王都に混ざって王位継承権を自分の物にしようと試みていたらしい。少し前からこの事が事件になって世間に出回っていたんだが、どうしても証拠が掴めなくてね」
思い返してみれば新聞やお茶会で見聞きした記憶が蘇る。
確かに出回ってきた情報達は不確かなものばかりで、どこか他人事のように思えていた。