研究オタクな令嬢は、ドラゴン【研究対象】に夢中。
「そこで俺が囮になってわざと捕まったんだ。きっと腹黒くなった弟はドラゴンの首を取ることにも興味を唆られるだろうと。そこで証言が得られれば俺らの勝ちになるからな」
「噂になっている君に近づいたのも、証拠隠滅の一つの手段として薬物に詳しいものを抹殺しようと試みていたらしい。本当に、どこまでも愚かな弟だあいつは」
「じゃあ舞踏会に現れたのも……」
「君のことを最終的に調べ上げるために自分から素性を隠してまで参加したと見ていい。権力への飢えが結果的に多くの人を巻き込んでしまった……本当にすまない」
「俺の大切な人の頬に傷まで作ったんだ。覚悟しておけよ」
「ああ、そのつもりだ」
ヒューリの低い声に肩を竦ませていると、ライジールは再び真剣な表情でイリアを見つめた。
「ここから先の話は、君達にとって重要な話だ。どうか耳を貸してほしい」
「はい」
ゆっくりと口を開いたライジールの言葉通りに、肩の力を抜いて耳を傾ける。