研究オタクな令嬢は、ドラゴン【研究対象】に夢中。



これまで代々の第一王子がこの知られざる過去を教えられ、その秘密を守り一つの課題を課せられる。

「賢者はいつか訪れる森の侵食を恐れた。カデアトに込められた魔力を吸い上げ成長し続ける森、ネグルヴァルトがカデアトに住む者たちを苦しめるであろうと」

「……!」

「その目は何か知っているようだね」

「はい。傷ついた人達やドラゴンを見て、居てもたってもいられなくて、私は治療薬を生成しました」

「今では村の者達にもその薬草の調合方法をイリアが伝授している」

我が物顔でヒューリが得意げに話したかと思えば、イリアの肩に腕を回す。

急に近くなった距離に、王子の前でやめなさいと宥めるがその言葉は届くことは無かった。恥ずかしさを感じながらも、イリアはライジールに話を続けるよう目で訴えた。

「その問題を解決するためには、カデアトとこの世界での均衡を保ち再びこの世界で共に暮らすことが必要だ。そしてあの森の鍵は代々この国の第一王子が受け継ぐこととなっている。だが不思議なことに鍵を使えるのは私ではない」

手に持っていたムーンストーンのネックレスをイリアに手渡してきたライジールに、高価なものは触れないと首を横に降ったがヒューリがネックレスを受け取った。

「森とこの地を繋ぐ女神の涙は、獅子王の剣に眠る。真なる繋ぎが表れし時、大空へと竜を誘うであろう」

聞き覚えのある言葉によく考えてみると、その言葉はカデアトの秘跡にあった言葉と一緒だったのだ。




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