研究オタクな令嬢は、ドラゴン【研究対象】に夢中。
すぐさま頭を下げて承諾したということを示そうと思ったが、その動きを封じるように人差し指を鼻先ギリギリで突きつけてきた。
「そのみっともない態度はお辞めになってください。見てるこっちも嫌気がさしてしまいますわ」
「は、はい……」
「返事をする時は弱々しいのはご法度。優柔不断な女と見られかねません。品のある声でしっとりとを意識してくださいませ」
「はあ……」
「返事は?」
ピシャリと切り捨てられるような鋭い言葉を投げられ、これは本気で向き合わないと殺られてしまう、そう思ったイリアは言われた通りに品を意識しながら返答する。
「かしこまりました。よろしくお願いします、エルメナ様」
「三十点。先が思いやられますが、私が徹底的に指導しますのでご安心くださいませ。さて……まずはその指先の手入れからと参りましょうか」
がっちりと掴まれた手首は振りほどくことは不可能な程の力と圧力が込められていた。イリアはいつものように、ただされるがまま心が殺られないようにだけを気をつけながら連れられるまま廊下を歩き、これから始まる予想もつかない特訓に不安を募らせた。