研究オタクな令嬢は、ドラゴン【研究対象】に夢中。
その結果のあまりイリアの瞳に眩しい程の光が宿り、オタク心を焚き付けた。
別の爪にも薬を垂らせば同じように爪は伸びる。一定の長さまで伸びると、爪の成長は止まりそれ以上はどうやら伸びないらしい。
「す、すごい……!」
「イリア、これは一体何の薬なんだ?」
「薬じゃなくて、ただの栄養剤。栄養素を多く含む薬草を調合したものなんだけど、森の植物に間違って零したことがあってその時に通常より成長が早かったの。もしかしたらと思ってやってみたら、ドラゴンにはすごい効果があるみたいね!!」
「キュー!」
ヴァイルも自分の体の急激な変化に興奮しているのか、尻尾を左右に大きく振った。見せびらかすようにヒューリに足を突きつけるが、彼の顔は少し険しい。
「後でしっかり切るからな」
「キュウゥ……」
拗ねた顔でヒューリにそっぽを向けるヴァイルだったが、メモを取るイリアに次を強請るように強い眼差しで見つめた。
その強い視線にも関わらずイリアは夢中になってメモを取り続け、摘んできた薬草を手当り次第に調合する。
「ねえ、ヒューリ。ドラゴンの鱗には魔力とかってあるの?」
「鱗に限って魔力が宿っているわけではなくて、全身に魔力は通っているんだ。血液と一緒のようにな」
「それでなのかしら……体内に薬草の成分が染み渡るのが早い分、治りが早い……とか?」
仮説でも何でも考えたことは全てメモに取り、貴重な情報を一つとして残らないように筆を走らせる。