研究オタクな令嬢は、ドラゴン【研究対象】に夢中。



そうなる為にもまずはきちんとした嫁ぎ先を見つけなければ意味は無い。

腕を組むアゼッタはイリアよりも幼いながらも、早い段階で嫁ぎ先を掴み取っている。

ーー今日は女を磨くために色々と見て知っておかなきゃね。

楽しそうに瞳を輝かせるアゼッタを横目で見ながら気合を入れていると、たどり着いた店の中にぐいぐいと力強く引かれていく。

「女はまず見た目からです。お姉様に似合うドレスを用意してくださいませ!」

店の者には顔が通っているのかアゼッタのその一言だけで、忙しなく動き始めた店内にイリアは微笑を浮かべた。

今の貴族令嬢達に人気の高いドレスを一着一着説明されながら、鏡の前で当てて見せられる。アゼッタの指摘などもあり、次々と切り替わっていくドレスを流れるように見つめることしかできなかった。

流行というものに敏感だという貴族令嬢達の常識範囲内のドレスの定番を一通り試着して、その知識を回転の速い頭で処理しながら身につけていった。

「好みによって形を変えたりもしておりますが、今年は花びらのような形のフリルを取り入れたものが流行しております」

手渡された一着のドレスを手に取って、その生地の質感や肌触りを確認しながら、言われた言葉にふとアゼッタを見た。

「そう言えばアゼッタのドレスも、カーネーションみたいな綺麗なフリルよね」

「流石お姉様、ちゃんと見てくださっていたのですね」

「こちらのドレスはアネモネの花をイメージして作られたもので、大変人気が高いんですよ」

試着するように勧められ、試着室で店の者に着るのを手伝って貰い鏡の前へと移動するとそこに映る自分の姿に、今まで感じたことの無い感情が芽吹いた。





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