研究オタクな令嬢は、ドラゴン【研究対象】に夢中。
「わ、私はそんな大したことはしてないんですけど……」
「いいえ。アゼッタはいつもイリア様のことを優しくて真っ直ぐな素敵な人だと大絶賛していきます。わたくし達はアゼッタの親友ですよ?彼女の言葉を信じます」
そんな風に外で話していたなんて知りもしなかったイリアは、家に帰ったらアゼッタにあれやこれやと問い詰めてやろうと決めた。
心がとても温かいのは知らなかった優しさが世界にはあって、今まで知らずに生きてきたことが恥ずかしくなった。
馬鹿にされるくらいならいつか見返してやろうと研究に没頭していた日々だったが、それは言われた言葉で傷ついた心を守るためだったのかもしれないと今更知った。
父や母のような名のある人になれば、きっと誰かが優しく迎え入れてくれるはずだと、何処かで期待していたのかもしれない。
ただ一つだけはっきりと言えることがある。
「私は研究や実験が、とっても大好きなんです」
好きなことに夢中になる時間が、そして好きなことを全力でやっている自分が好きだった。
好きなことに真っ直ぐでいたい、それがイリアの素直な気持ちだった。