秒速ファシネイト
なんか…この言い方!まるで私が一条凪と帰りたいと思ってるみたいじゃない?いやそうだけど!そうなんだけど!!
なんか、それは私のプライドが許さないっていうか…ていうか一条凪は私と帰りたくないわけ!?この私と!?
口元がひきつる。
私はなるべく涼しい笑みを浮かべて一条凪の漆黒の瞳を見返した。
「別に。落とす宣言されたこと忘れたの?私言ったことは即有言実行なの。今日中に落としてあげる」
「へーそっか。それは楽しみ」
一条凪が丁寧にカバンのチャックをしめて、立ち上がった。
「いいよ。一緒に帰ってあげても」
「!?」
なんで私が一条凪に帰って「もらう」立場なわけ!?
私は絶対に施す側の立場であるはずなのに。
やっぱりムカつくこの男。
でも…この私を見る興味なさげな瞳に猛烈にときめいてしまう。
こうなったら…絶対確実に何が何でも落とす!!