秒速ファシネイト
一条凪の登校時刻を完璧に把握した私は、今日も一条凪と昇降口で鉢合わせることに成功した。
一条凪が私を見て、一瞬軽く目を見開いたのを私は見逃さない。
「…おはよ、木村さん。なんか雰囲気、いつもとだいぶ違うね?」
「あーらそう?ま、たまにはこういうのもいいかと思ってねー」
「…へえ」
一条凪は読めない笑みで少し首を傾げると
「じゃ」
さっさと私を置いて廊下を歩いて行ってしまった。
…え。ちょっと待って。
私の華麗なるイメージチェンジに対する反応、『へえ』ってたったのそれだけ!?
そんなぁ…!!