秒速ファシネイト




「よよよよかったら、きっ…今日の放課後、べっ…勉強、教えてくれないかな?
ききき木村さん、すすす数学いつも点数高いよね…?」




今まで一回も話したことないオタク風男子。


少し離れた所で仲間と思われるオタクが「いけえ佐々木氏!」と応援している。




えーやだよ。放課後は早く帰りたいし…と速攻でお断りしようと思ったけど



これ…もしかして、一条凪に私が皆に頼られるいいオンナっていうのをアピールするチャンスかも!?




「別にいいけど?」



「ほっ…本当!?ありがとう!!!」




喜ぶオタク男子。

仲間たちも「うおおおお快挙!!!」と雄叫びをあげていた。




「えーそれ、俺も混ぜてくんね?」




次に現れたのはチャラ男子。




「テストちけーし、頼むよ〜」




チャラ男子も勉強とかするのか…まあこの際一人増えても一緒だ。




「いいよ」


「うお、さんきゅ〜。なんか木村さん、そのカッコ、逆にエロくていいな〜」



「は?」



「ななな何を言っているんだ菅谷くん!?
ぼ、僕は、前よりギラギラしてないっていうか…なんか、とても話しかけやすくなったよ!」



「はぁ…」






一条凪ウケ以外、いらないんだけど。




チラッと一条凪を見ると、まるで私たちのやり取りなんて聞こえていないように文庫本に集中していた。




くっ…




手強すぎるぜ、一条凪!





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