秒速ファシネイト
「ぬぬぬ抜け駆けするなど卑怯極まりなし!!」
そしてなぜかオタクは激怒している。
「ぼっ僕だって、かなり前からお慕い申し上げていたんだ!貴様…!」
…なんか知らないけど、2人から告られてるっぽい?
「…あのさ。悪いけど私…」
「俺にも勉強教えてくれる?」
「…は…一条凪!?」
トン、と。
いつの間に図書室に入ってきていたのか、一条凪が私の隣に腰をおろした。
「な、なんでここに…!」
「だから勉強教えて?って」
「そんなの一条凪には必要ないでしょ!」
私は成績優秀だけど、一条凪は万年学年1位。
それに…
「…一条凪には、大好きな家庭教師がいるじゃん」
あれ、なんか…
拗ねてるみたいな言い方をしてしまった。
くす、と。
一条凪が笑う。
「そうだった」
まるで見透かすみたいに、目を細めて私を見る。
「木村さんって、意外とバカなんだった」