秒速ファシネイト
――そしてあっという間に一条凪の誕生日当日になってしまった。
「おはよう、一条くん。今日誕生日だよね?これプレゼント」
「私も。ペンケースよかったら使ってくれる?」
いつも1人で文庫本を読んでいる一条凪の席に、今日に限ってチラホラ女子の影。
一条凪…モテてる!?
「頭いーから、意外と1部に隠れファンいるんだよね~一条凪」
気づいたら隣に真子が立っていた。
「隠れファン!?」
「あ、それ誕プレのお弁当?」
真子が私が持つお弁当箱に気づいた。
「…う、うん。まあね」
「上手くできた?」
「…まあね」
この一週間、毎日必死で練習した。
そりゃ、この私だから?付け焼き刃でも人並みには一応…できたと思うけど。
あくまで人並みっていうか。特別美味しそうでも、ないってゆうか。
…わざわざ一条凪が喜んでくれる気は、しないってゆうか。